不動産信託受益権の主たる業務と付随業務の登録申請
事業モデルの明確化が登録成功の鍵
「主たる業務」と「付随業務」の適切な位置付けが、スムーズな登録プロセスを導きます。
はじめに:事業モデルの正確な位置付けの重要性
不動産信託受益権の売買・売買の代理・私募の取扱いを主たる業務とし、これに加えて不動産アセットマネジメントに関する投資助言業務を付随的に行う事業モデルは、金融商品取引法(以下「金商法」)に基づく複数の登録が必要となる可能性があります。この際、どの業務が「主たる業務」で、どの業務が「付随業務」であるかを明確にすることは、登録申請プロセスにおいて極めて重要です。
行政書士アイリス合同事務所は、お客様の事業モデルを正確に理解し、監督当局に対して適切に説明できるよう、専門的な知見に基づいたサポートを提供しています。このページでは、主たる業務と付随業務の考え方、登録申請におけるその位置付け、そして申請書類における記載のポイントについて詳しく解説します。
主たる業務と付随業務の定義
主たる業務とは
「主たる業務」とは、事業者がその事業活動の中心として、最も力を入れて行い、かつ主要な収益源となる業務を指します。お客様の事業モデルにおいては、「不動産信託受益権の売買・売買の代理・私募の取扱い」がこれに該当します。この業務は、金商法上「第二種金融商品取引業」の登録が必要です。
付随業務とは
「付随業務」とは、主たる業務を補完し、その効果を高めるために行われる業務を指します。お客様の事業モデルにおいては、「不動産アセットマネジメントに関する投資助言業務」がこれに該当します。この業務は、金商法上「投資助言・代理業」の登録が必要ですが、お客様のケースでは、第二種金融商品取引業に付随する形で提供されるものです。
金融庁は、複数の金融商品取引業を兼業する場合、それぞれの業務の位置付け(主たる業務か付随業務か)を重視し、その実態と整合性が取れているかを審査します。
登録申請における位置付けのポイント
登録申請の際、お客様の事業モデルにおける「主たる業務」と「付随業務」の明確な位置付けは、以下の点で重要となります。
1. 審査の焦点
監督当局(金融庁/財務局)は、申請された業務が「主たる業務」として適切に遂行される体制が整っているかを最も重視して審査します。付随業務については、主たる業務との関連性や、それが顧客保護や法令遵守の観点から問題がないかを補完的に確認します。
お客様のケースでは、第二種金融商品取引業としての登録要件(財産的要件、人的要件、事務所要件、内部管理体制など)が審査の中心となり、不動産アセットマネジメントに関する投資助言業務は、その付随性や弊害防止措置が適切に講じられているかが確認されます。
2. 人的要件・組織体制の評価
特に人的要件においては、主たる業務を遂行するために必要な知識・経験を持つ役職員(特にコンプライアンス責任者)の配置が厳しく評価されます。付随業務に関する人員についても、その業務を適切に遂行できる能力があるかを確認しますが、主たる業務の要員ほど厳密な常勤性や専任性が求められない場合があります。
組織体制においても、主たる業務の執行体制が中心となり、付随業務がそれに統合される形で、適切な内部管理体制(利益相反管理、情報遮断など)が構築されているかが確認されます。
3. 弊害防止措置の重要性
複数の金融商品取引業を兼業する場合、異なる業務間で顧客の利益が不当に損なわれたり、利益相反が生じたりすることを防ぐための「弊害防止措置」が求められます。お客様のケースでは、不動産信託受益権の売買業務と投資助言業務の間で、顧客の利益が損なわれないよう、明確なルールを設ける必要があります。
- 情報遮断(チャイニーズウォール): 異なる業務部門間で、顧客情報や取引情報が不当に共有されないよう、物理的・システム的な情報遮断措置を講じる。
- 利益相反管理規程: 利益相反のおそれのある行為を特定し、管理するための規程を策定・運用する。
申請書類における記載のポイント
主たる業務と付随業務の位置付けを申請書類で明確に示すためには、以下の点に留意して記載します。
- 事業計画書:
- 事業の目的や概要において、「不動産信託受益権の売買・売買の代理・私募の取扱い」が主たる業務であり、その事業展開の一環として「不動産アセットマネジメントに関する投資助言業務」を付随的に行う旨を明確に記述します。
- 収益計画において、各業務からの収益割合を具体的に示し、主たる業務からの収益が大部分を占めることを客観的に示します。
- 人員計画や組織体制においても、主たる業務に重点を置いた配置であることを示します。
- 業務方法書:
- 各業務の具体的な業務フローを記載する際、主たる業務のプロセスを詳細に記述し、付随業務はそれに連携する形で簡潔に記述します。
- 投資助言業務については、「不動産アセットマネジメントに関する助言業務に限る」旨を明確に記載し、業務範囲を限定します。
- 人的構成及び組織等の業務執行体制を記載した書面:
- 組織図において、主たる業務と付随業務の部門間の関係性や、コンプライアンス部門の独立性を明確に示します。
- 各役職員の職務経験や専門知識を記述する際、主たる業務に関する経験を強調しつつ、付随業務に関する知識も有していることを示します。
申請書類全体を通じて、お客様の事業が「不動産信託受益権の取引」を核としていることを一貫して示すことが重要です。
行政書士アイリス合同事務所のサポート
行政書士アイリス合同事務所は、お客様の事業モデルにおける「主たる業務」と「付随業務」の位置付けを明確にし、登録申請を強力にサポートいたします。
- 事業スキームの法的整理: お客様の事業内容を深くヒアリングし、金商法上の定義に基づき、主たる業務と付随業務の範囲を正確に特定します。
- 申請書類の作成・精査: 事業計画書、業務方法書など、全ての申請書類において、主たる業務と付随業務の位置付けが適切に表現され、監督当局に明確に伝わるよう作成・精査します。
- 弊害防止措置の設計支援: 兼業に伴う利益相反リスクを適切に管理するための弊害防止措置の策定を支援します。
- 監督官庁との事前相談・審査対応: 財務局との事前相談において、お客様の事業モデルを効果的に説明し、審査中の質疑応答にも的確に対応します。
お客様が安心して第二種金融商品取引業と付随する投資助言業務の登録を進められるよう、当事務所が強力にサポートいたします。
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