投資助言業と投資代理業と投資運用業、何が違うの?

投資助言業と投資代理業と投資運用業、何が違うの? | 行政書士アイリス合同事務所

投資助言業と投資代理業と投資運用業、何が違うの?
金融商品取引法が定める投資サービスの区分

あなたの投資ニーズに合ったサービスを見つけるための基礎知識

はじめに:複雑な投資サービスを分かりやすく

金融市場には、投資家の様々なニーズに応えるために、多種多様な投資サービスが存在します。しかし、それぞれのサービスがどのような役割を持ち、法律上どのように区分されているのかは、一般の方には分かりにくいかもしれません。特に「投資助言業」「投資代理業」「投資運用業」は、似ているようでいて、その内容や責任範囲が大きく異なります。

このページでは、金融商品取引法(以下「金商法」)に基づいて、これら3つの投資サービスが具体的にどのような業務を指すのか、その違いとそれぞれの特徴を分かりやすく解説します。

1. 投資助言業とは?

投資助言業は、金商法第2条第8項第11号に定義されており、「報酬をもらって、投資のプロが『どの金融商品を、いつ、どうやって売買したらいいか』といった具体的なアドバイスをする仕事」です。

主な特徴は以下の通りです。

  • 業務の性質: 投資判断に関する「助言」を直接提供します。
  • 顧客との関係: 顧客はアドバイスを受けますが、実際に投資を行うかどうか、いつ、どれくらいの量で売買するかといった最終的な判断と実行は、すべて顧客自身が行います。
  • 主な対象契約: 投資顧問契約。

投資助言業者は、あくまで「助言」を提供する立場であり、顧客の資産を預かって運用することはありません。

2. 投資代理業とは?

投資代理業は、金商法第2条第8項第12号に定義されており、「投資助言業者や投資運用業者(顧客の資産運用を全て任される業者)に代わって、顧客との間で契約を結ぶ手伝いをする仕事」です。

主な特徴は以下の通りです。

  • 業務の性質: 投資顧問契約または投資一任契約の「締結の代理・媒介」を行います。
  • 顧客との関係: 顧客に直接投資のアドバイスをしたり、資産を運用したりすることはありません。あくまで、契約を結ぶための橋渡し役となります。実際の投資判断や実行は、投資助言業者または投資運用業者との契約後に顧客または投資運用業者が行います。
  • 主な対象契約: 投資顧問契約、投資一任契約。

投資代理業者は、契約締結のサポートが中心であり、実際の投資判断や運用には関与しません。

3. 投資運用業とは?

投資運用業は、金商法第2条第8項第10号に定義されており、「顧客からお金や株などの資産を預かり、その運用を全面的に任されて、プロが投資判断から実行まで全て行う仕事」です。

主な特徴は以下の通りです。

  • 業務の性質: 顧客の金銭その他の資産を運用すること(投資一任契約に基づく運用)や、集団投資スキーム持分(ファンドの持分)の運用を行います。
  • 顧客との関係: 顧客は個別の投資判断を行う必要がなく、専門家(運用業者)に運用を全て任せることができます。運用業者が顧客に代わって投資判断から実行まで行います。
  • 主な対象契約: 投資一任契約、集団投資スキーム契約。

投資運用業者は、顧客の資産を直接預かり、運用判断から実行までを一貫して行うため、最も高い専門性と厳格な規制が求められる業務です。

3つの業務の主な違い(比較表)

これら3つの業務の主な違いをまとめると以下の通りです。

項目 投資助言業 投資代理業 投資運用業
業務の性質 投資判断に関する「助言」を提供 投資顧問契約・投資一任契約の「締結の代理・媒介」 顧客の資産を「運用」
顧客の資産を預かるか 預からない 預からない 預かる
最終判断・実行 顧客が行う 投資助言業者または投資運用業者との契約後に顧客または投資運用業者が行う 投資運用業者が行う
主な対象契約 投資顧問契約 投資顧問契約、投資一任契約 投資一任契約、集団投資スキーム契約
登録区分 金商法上の「投資助言・代理業」として一括登録 金商法上の「投資運用業」として登録

なぜこれらの区別が重要なのか?

これらの業務の区別を理解することは、事業者にとっても投資家にとっても非常に重要です。

  • 事業者にとって: 自身の事業がどの業務に該当するかを正確に把握し、必要な登録を済ませることで、無登録営業による重い罰則(個人には5年以下の懲役か500万円以下の罰金、法人には5億円以下の罰金)を回避できます。また、各業務に課せられる厳格なルール(内部管理体制、広告規制、顧客保護など)を遵守するためにも、正確な理解が不可欠です。
  • 投資家にとって: 自分がどのようなサービスを受けているのか、誰が最終的な投資判断や実行の責任を負うのかを明確に理解することで、安心して投資を行うことができます。

このように、金融商品取引業の各区分の理解は、金融市場の透明性と信頼性を高める上で欠かせないものです。

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