「第一種金融商品取引業」と「第二種金融商品取引業」の違いを解説!
「第一種金融商品取引業」と「第二種金融商品取引業」の違いはなんですか?
金融商品の種類と規制の深掘り
あなたの事業がどちらに該当するか、分かりやすく解説します
はじめに:金融商品取引業の二つの柱
金融商品取引法(以下「金商法」)は、金融市場の健全な発展と投資家保護のため、様々な金融サービスを厳しく規制しています。その中でも、特に中心的な役割を果たすのが「第一種金融商品取引業」と「第二種金融商品取引業」です。これらは、どちらも金融商品に関する業務ですが、扱う商品の種類や規制の厳しさに大きな違いがあります。
このページでは、これら二つの金融商品取引業が具体的にどのような業務を指すのか、その違いとそれぞれの特徴を分かりやすく解説します。ご自身の事業がどちらに該当するのか、あるいはどちらの登録が必要なのかを理解する上での参考にしてください。
1. 第一種金融商品取引業とは?
第一種金融商品取引業は、金商法第28条第1項に定義されており、主に「流動性の高い有価証券」の取引を行う業務です。私たちが一般的にイメージする証券会社の主要業務がこれに該当します。
主な業務内容と対象商品
- 株式や債券の売買、媒介、取次ぎ、代理: 証券会社が顧客からの注文を受けて株式や債券を売買したり、その仲介をしたりする業務です。
- 有価証券の募集・私募の取扱い: 企業が新しく発行する株式や債券を、投資家に販売する手伝い(引受業務)や、公募投資信託の販売など。
- 市場デリバティブ取引: 株価指数先物取引、オプション取引など、取引所で行われるデリバティブ取引の媒介、取次ぎ、代理。
対象となる金融商品は、株式、債券、投資信託(公募)、公社債投資信託など、市場で活発に取引され、比較的換金しやすいものが中心です。
規制の厳しさ
不特定多数の投資家が参加し、市場の流動性に大きく影響するため、金融商品取引業の中で最も規制が厳しく、高い資本金要件(5,000万円以上)や、厳格な人的・物的要件が課せられます。
2. 第二種金融商品取引業とは?
第二種金融商品取引業は、金商法第28条第2項に定義されており、主に「流動性の低い有価証券」、いわゆる「みなし有価証券(二項有価証券)」の取引を行う業務です。
主な業務内容と対象商品
- 集団投資スキーム持分(ファンド持分)の自己募集、募集の取扱い: 自社で組成したファンドの持分を直接投資家に募集したり、他社ファンドの募集・勧誘をしたりする業務です。ベンチャーファンドや匿名組合型ファンドなどがこれにあたります。
- 信託受益権の売買、媒介、募集の取扱い: 不動産信託受益権など、不動産を裏付けとした信託受益権の取引が代表的です。
- 合同会社・合名会社・合資会社の社員権の売買など: 最近では、ブロックチェーン技術を使った「電子記録移転権利(セキュリティトークン)」もこれに含まれることがあります。
- 特定の市場デリバティブ取引: 電子記録移転権利を原資産とするデリバティブ取引などが該当します。
対象となる金融商品は、不動産信託受益権、ファンド持分、セキュリティトークンなど、個別性が高く、市場での換金が比較的難しいものが中心です。
規制の厳しさ
第一種に比べて資本金要件(原則1,000万円以上)は緩和されていますが、投資家保護の観点から、事業者には商品のリスクを十分に理解し、適切な情報提供とリスク説明を行う体制が厳しく求められます。
第一種と第二種、ここが違う!比較表
両者の違いをまとめると以下の通りです。
項目 | 第一種金融商品取引業 | 第二種金融商品取引業 |
---|---|---|
主な対象商品 | 流動性の高い有価証券(株式、債券、公募投信など) | 流動性の低い有価証券(みなし有価証券、ファンド持分、信託受益権、セキュリティトークンなど) |
主な業務例 | 株式・債券の売買、公募投信の販売、引受業務 | ファンド持分の募集・私募、不動産信託受益権の売買 |
最低資本金(法人の場合) | 原則5,000万円以上 | 原則1,000万円以上 |
規制の厳しさ | 金融商品取引業の中で最も厳しい | 第一種に次いで厳しい |
主な事業者 | 大手・中堅証券会社、一部の銀行 | 中小規模のファンド運営会社、不動産証券化関連事業者など |
なぜこの区別が重要なのか?
第一種と第二種の区別を理解することは、事業者にとっても投資家にとっても非常に重要です。
- 事業者にとって: 自身の事業がどちらの業務に該当するかを正確に把握し、必要な登録を済ませることで、無登録営業による重い罰則(個人には5年以下の懲役か500万円以下の罰金、法人には5億円以下の罰金)を回避できます。また、それぞれの業務に課せられる厳格なルール(内部管理体制、広告規制、顧客保護など)を遵守するためにも、正確な理解が不可欠です。
- 投資家にとって: 自分がどのような金融商品を、どのような規制のもとで取引しているのかを明確に理解することで、安心して投資を行うことができます。
このように、金融商品取引業の各区分の理解は、金融市場の透明性と信頼性を高める上で欠かせないものです。
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