不動産信託受益権の「私募の取り扱い」とは? | 行政書士アイリス合同事務所

不動産信託受益権の「私募の取り扱い」とは?
特定の投資家層への資金調達手法

不動産投資における「私募」の仕組みと、その法規制を解説

はじめに:不動産投資における資金調達の多様化

不動産投資において、企業やファンドが投資家から資金を集める方法は様々です。その中でも、「私募(Private Placement)」は、特定の限られた投資家から資金を調達する手法として広く利用されています。特に、不動産信託受益権の取引においては、「私募の取り扱い」が重要な位置を占めます。

このページでは、不動産信託受益権の「私募の取り扱い」が具体的にどのような業務を指すのか、その特徴や、金融商品取引法(以下「金商法」)における位置付け、そしてなぜこの手法が利用されるのかを分かりやすく解説します。

「私募の取り扱い」とは?

「特定の少数の投資家への勧誘」

金商法において「私募の取り扱い」とは、「有価証券の取得の申込みの勧誘のうち、特定の少数の投資家(50名未満)に対して、限定された条件で行われるもの」を指します(金商法第2条第4項)。

これは、不特定多数の一般投資家を対象とする「募集(公募)」とは異なり、「特定の限られた人たちから、資金を集める方法」です。

不動産信託受益権における私募の取り扱い

不動産信託受益権は、金商法上の「みなし有価証券(二項有価証券)」に該当します。そのため、不動産信託受益権の「私募の取り扱い」を行う事業者は、金商法に基づき「第二種金融商品取引業」の登録が必須となります。

この業務は、主にプロの投資家(機関投資家、特定投資家など)や富裕層を対象として、個別の交渉を通じて行われることが一般的です。

私募の取り扱いの主な特徴

不動産信託受益権の私募の取り扱いには、以下のような特徴があります。

  • 対象投資家が限定的: 特定の少数の投資家(50名未満)に限定されます。これにより、投資家の属性に応じたきめ細やかな対応が可能です。
  • 広告活動の制限: 広く一般に向けたテレビCMや新聞広告、インターネット広告などの広告活動は厳しく制限されており、個別の勧誘が中心となります。
  • 情報開示義務の緩和: 募集(公募)に比べて、金融庁への届出(有価証券届出書など)や、目論見書の作成・交付といった厳格な情報開示義務が緩和されます。ただし、投資家に対しては、商品のリスクや特性に関する適切な説明が求められます。
  • 規制の緩和: 対象者が限定されるため、募集に比べて規制は緩和されますが、金商法上の「第二種金融商品取引業」の対象となり、登録や内部管理体制の整備が必要です。
  • 柔軟な条件設定: 投資家との個別交渉が中心となるため、資金調達の条件(利回り、期間など)を柔軟に設定しやすいという側面があります。

主な例としては、不動産ファンドの私募や、特定の機関投資家向けの不動産信託受益権の提供などが挙げられます。

なぜ「私募の取り扱い」が利用されるのか?

不動産信託受益権の私募の取り扱いが利用される主な理由は以下の通りです。

  • 資金調達の効率性: 不特定多数への情報開示や広告活動のコストを抑え、特定の投資家層に効率的にアプローチできます。
  • 手続きの簡素化: 募集(公募)に比べて、情報開示に関する手続きが簡素化されるため、資金調達までの期間を短縮できる可能性があります。
  • 個別ニーズへの対応: 特定の投資家のニーズや条件に合わせて、柔軟な資金調達スキームを構築しやすいです。
  • 未公開資産への投資: 一般市場には流通しにくい不動産などの資産を対象としたファンドの組成に適しています。

無登録営業の重大なリスク

不動産信託受益権の「私募の取り扱い」を「業として」行う場合、第二種金融商品取引業の登録が必須です。この登録を受けずに業務を行った場合、金商法に基づき個人には5年以下の懲役か500万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。会社(法人)の場合は5億円以下の罰金が科されることもあり、非常に重い罰則が規定されています。

ご自身の事業が不動産信託受益権の私募の取り扱いに該当するかどうか少しでも疑問がある場合は、必ず専門家に相談し、リスクを回避することが重要です。

行政書士アイリス合同事務所の専門サポート

行政書士アイリス合同事務所は、「不動産信託受益権の売買・売買の代理・私募の取り扱い」に関する第二種金融商品取引業登録の専門家です。私たちは、お客様が複雑な金融規制をクリアし、安心して事業を展開できるよう、登録申請からその後の継続的なコンプライアンスまで一貫してサポートいたします。

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