第二種金融商品取引業 弊害防止措置とは? | 行政書士アイリス合同事務所

複数の金融商品取引業を兼業する場合の「弊害防止措置」とは?
顧客の利益を守るための重要な仕組み

利益相反リスクを管理し、公正な事業運営を確保するために

はじめに:兼業がもたらす利益相反リスク

不動産信託受益権の売買・売買の代理・私募の取扱い(第二種金融商品取引業)を主たる業務とし、これに加えて不動産アセットマネジメントに関する投資助言業務(投資助言・代理業)を付随的に行うなど、複数の金融商品取引業を兼業する場合、金融商品取引法(以下「金商法」)に基づき、「弊害防止措置」を講じることが義務付けられています。

この「弊害防止措置」は、異なる業務間で顧客の利益が不当に損なわれたり、利益相反が生じたりすることを防ぐための重要な仕組みです。行政書士アイリス合同事務所は、お客様がこの弊害防止措置を確実に構築・運用できるよう、専門的な知見に基づいたサポートを提供しています。このページでは、弊害防止措置の必要性、具体的な内容、そしてその整備方法について詳しく解説します。

弊害防止措置とは?その目的

定義と義務(金商法第44条など)

弊害防止措置とは、金融商品取引業者が複数の業務を兼業する際に、それぞれの業務間で発生しうる利益相反や不適切な情報共有などを未然に防ぎ、顧客の利益が不当に害されることを防止するための組織的・業務的な仕組みを指します。金商法第44条などにその整備が義務付けられています。

目的と役割

弊害防止措置の主な目的は、以下の通りです。

  • 顧客の利益保護: 異なる業務を行うことで生じる利益相反の可能性から顧客を守り、常に顧客の利益を最優先する体制を確保します。
  • 公正な取引の確保: 特定の業務で得た情報を他の業務に不当に利用したり、特定の顧客を優遇したりする行為を防ぎ、市場の公正性を維持します。
  • 市場の信頼性維持: 金融機関が多様な業務を行う中で、不透明な取引や不適切な行為が行われることを防ぎ、金融市場全体の信頼性を高めます。

弊害防止措置の具体的な内容

弊害防止措置には、主に以下のような具体的な内容が含まれます。

1. 情報遮断(チャイニーズウォール)

異なる業務を行う部門間で、顧客情報や取引情報が不当に共有されないよう、物理的・システム的な情報遮断措置を講じます。

  • 物理的な分離: 異なる業務を行う部門のオフィスを物理的に分離したり、アクセス制限を設けたりします。
  • システム的な分離: 顧客情報データベースや取引システムへのアクセス権限を厳格に管理し、不必要な情報共有を防ぎます。
  • 人的な分離: 異なる業務部門の役職員が、兼務・兼職を原則禁止したり、情報交換を制限したりします。

例えば、不動産信託受益権の売買部門と投資助言部門の間で、顧客の投資判断に影響を与えるような未公開情報が不当に共有されることを防ぎます。

2. 利益相反管理規程の策定と運用

利益相反のおそれのある行為を特定し、管理するための規程を策定し、実効的に運用します。

  • 利益相反の特定: どのような取引や状況で利益相反が生じる可能性があるかを具体的に特定します。
  • 管理方法の明確化: 利益相反のおそれがある場合の対応策(例:顧客への開示、取引の停止、取引条件の変更、顧客からの同意取得など)を明確に定めます。
  • 役職員への周知徹底: 策定した規程を役職員に周知徹底し、研修などを通じて理解を深めます。

お客様の事業では、例えば、自社が取り扱う不動産信託受益権を、投資助言業務の顧客に不当に勧誘するといった行為が利益相反に該当する可能性があります。

3. 組織体制の整備

  • 業務部門の分離: 投資助言業を行う営業部門とは別に第二種金融商品取引業を行う営業部門を新設し、それぞれの業務を独立して遂行できる組織体制を構築します。
  • 責任者の配置: 各業務の責任者を明確にし、コンプライアンス部門の独立性を確保します。

4. 顧客への情報開示

利益相反のおそれがある取引を行う場合、事前に顧客にその旨を開示し、同意を得ることが求められます。これにより、顧客が十分な情報に基づいて判断を行えるようにします。

弊害防止措置の体制不備がもたらすリスク

弊害防止措置に不備があったり、適切に運用されていなかったりする場合、金融庁や財務局から以下のような行政処分や罰則が科される可能性があります。

  • 業務改善命令: 業務方法の変更その他業務の改善に必要な措置を命じられます。
  • 業務停止命令: 6ヶ月以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命じられます。
  • 登録取消し: 悪質な場合や、他の法令違反と重なる場合には、最も重い行政処分である登録取消しとなる可能性もあります。
  • 社会的な信用の失墜: 弊害防止措置の不備は、企業のブランドイメージや社会的な信用を大きく損ない、事業継続に深刻な影響を及ぼします。

これらのリスクを避けるためにも、弊害防止措置を確実に整備し、実効的に運用することが極めて重要です。

行政書士アイリス合同事務所のサポート

行政書士アイリス合同事務所は、複数の金融商品取引業を兼業するお客様に対し、弊害防止措置の構築と運用を強力にサポートいたします。

  • 弊害防止措置方針・規程の策定支援: 金商法および監督指針に適合した、お客様の事業内容に即した弊害防止措置方針・規程の策定を支援します。
  • 情報遮断(チャイニーズウォール)の設計支援: 物理的・システム的・人的な情報遮断措置の導入について具体的に助言します。
  • 利益相反管理体制の構築: 利益相反の特定、管理方法の明確化、顧客への開示方法などについて支援します。
  • 組織体制の整備支援: 業務部門の分離や責任者の配置など、弊害防止措置を実効的に機能させるための組織体制構築をサポートします。
  • 監督官庁との事前相談・審査対応: 弊害防止措置に関する当局の懸念を早期に解消し、スムーズな登録を目指します。

お客様が安心して複数の金融商品取引業を運営できるよう、当事務所が強力にサポートいたします。

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