第一種金融商品取引業とは?

第一種金融商品取引業とは? | 行政書士アイリス合同事務所

第一種金融商品取引業とは?
証券会社の主要業務と登録の重要性

株式や債券など、流動性の高い金融商品の取引を支える基盤を解説

はじめに:金融市場の「顔」となる第一種金融商品取引業

私たちが「証券会社」と聞いて真っ先に思い浮かべる株式や債券の売買、投資信託の販売といった業務は、金融商品取引法(以下「金商法」)で定められている「第一種金融商品取引業」にあたります。これは、金融市場の最も中心的な役割を担う業務であり、多くの投資家が日常的に利用するサービスを提供しています。

この業務は、金融市場の健全性と投資家保護のために極めて重要な位置付けにあり、事業を行うには内閣総理大臣の登録が必須となります。このページでは、第一種金融商品取引業が具体的にどのような業務を指すのか、その主な内容、そしてなぜ登録が必要なのかを分かりやすく解説します。

第一種金融商品取引業の定義

第一種金融商品取引業は、金商法第28条第1項において、「金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うこと」と定義されています。これは、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行うことができない業務です。

具体的には、「流動性の高い有価証券」の取引がその主な対象となります。

第一種金融商品取引業の主な業務内容

第一種金融商品取引業にあたる具体的な仕事には、次のようなものがあります。

業務内容 具体例 ポイント
有価証券の売買 顧客からの注文を受けて株式や債券を売買する(委託売買)
自社の資金で株式や債券を売買する(自己売買)
証券会社の最も基本的な業務であり、市場の流動性を生み出します。
有価証券の媒介、取次ぎ、代理 顧客と証券取引所や他の金融機関との間での売買を仲介する 顧客が直接市場に参加することなく、取引を円滑に行えるようにします。
有価証券の募集・私募の取扱い 企業が新しく発行する株式や債券を、投資家に販売する手伝いをする(引受業務)
投資信託の販売
企業が資金を調達するのを助け、投資家が新しい金融商品にアクセスできるようにします。
市場デリバティブ取引 株価指数先物取引、オプション取引など、取引所で行われるデリバティブ取引の媒介、取次ぎ、代理 価格変動リスクをヘッジしたり、投機的な取引を行ったりする手段を提供します。

これらの業務は、市場の流動性が高く、不特定多数の投資家が参加する取引が中心となります。そのため、投資家保護の観点から、事業者には極めて高い信頼性と厳格な内部管理体制が求められます。

なぜ「登録」が必要なのか?

日本で第一種金融商品取引業を行うには、金商法第29条という法律に基づいて、国の許可(内閣総理大臣の登録)が必ず必要です。この許可制度は、次のような大切な目的のために作られています。

  • 投資家をしっかり守るため: 株式や債券といった金融商品は、価格変動リスクなどがあり、投資家が十分な知識を持たずに取引を行うと大きな損をしてしまう危険があります。許可制度は、この仕事をする会社や人が、ちゃんとしたお金の基盤や、専門知識を持った人、非常にしっかりした会社の仕組み(内部管理体制)を持っているかを事前に審査することで、悪質な業者から投資家を守ります。
  • 金融市場を健全で公平に保つため: 厳しい許可制度と、許可後も続く国のチェックによって、市場全体の信頼性を高め、公平な取引が行われる環境を維持します。これは、金融システム全体の安定にも繋がります。
  • 無許可で仕事をするのを防ぐため: もし許可を受けずに第一種金融商品取引業を行った場合、金商法によって個人には5年以下の懲役か500万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。会社(法人)の場合は5億円以下の罰金が科されることもあり、非常に重い罰則が決められています。

このように、第一種金融商品取引業の許可は、単なる役所の手続きではなく、事業が法律にのっとって行われ、信頼されるための大切なステップであり、金融市場の根幹を支える上で欠かせないものです。

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